小川駅徒歩1分やまぐち耳鼻咽喉科

アルゴンプラズマによる鼻内粘膜焼灼術
＊どんな治療ですか？
　アルゴンプラズマで鼻の中の粘膜を熱的に焼き固め、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった鼻症状を抑えるものです。粘膜を焼くことによって、
・腫れて厚くなった粘膜を薄くして、空気の通り道を広げる。
・アレルギー反応の起こりやすい粘膜を減らす。・・・という治療法です。
その結果・・・
・鼻の通りが良くなり、鼻づまりが軽減します。
・アレルギー物質（花粉、ホコリ、ダニなど）が鼻の中に入っても、くしゃみ、鼻水などのアレルギー反応が緩和されます。
アレルギー性鼻炎、花粉症の方に主に行われておりますが、慢性鼻炎や肥厚性鼻炎による鼻づまりで悩んでいる方にも有効です。
実際に鼻の中の粘膜をすべて焼くわけではなく、アレルギーを根本的に「治す」治療ではありません。アレルギー反応を抑え込むのは残念ながら困難です。しかし、程度の差はありますが手術前よりもかなり症状が軽減することがあります。症状がもどってきた場合には、再度焼灼することも可能です。

＊アルゴンプラズマ凝固法（APC）とは？
　高周波凝固法の一つで、アルゴンガスに電気を流し、粘膜を熱的に凝固させる方法です。このときの電気を帯びたアルゴンガスをプラズマと呼んでいます。炭酸ガスレーザーに比べて手術時間が短縮できます。

＊どんな患者さんが受けられますか？
1．スギ、ヒノキ、イネ科雑草などの花粉症で毎年のように悩む方
2．ハウスダスト、ダニなどが原因で1年中鼻づまりに悩んでいる方
3．慢性鼻炎、肥厚性鼻炎による鼻づまりで困っている方
4．妊娠、授乳などで長期間内服治療ができなくなる可能性のある方
5．眠くなる薬の内服を控えたい方や、定期的に通院できない方。

＊実際の手術方法
1．通常の鼻の掃除（処置）のように鼻内をきれいにします。
2．両方の鼻の中に麻酔薬をしみ込ませたガーゼを数枚挿入します。15分後にガーゼを入れ替えさらに15分待ちます。これによって鼻腔内が麻酔されます。
3．ガーゼを抜いてから鼻の中を焼灼します。両側で15～30分くらいです。手術中、“軽い痛み”や、“歯が浮く感じ”をきたすことがあります。　
4．術後、しばらく院内で休憩していただきます。その後、出血がないことを確認し終了です（入院の必要がない、いわゆる「日帰り手術」ですが、受付から帰宅までは約2時間かかります）。

＊手術後は？
1．手術当日の入浴はシャワーのみにしてください。また、1週間は激しい運動、飲酒をお控えください。手術後2週間は鼻を強くかまないでください。
2．手術後、約1～2カ月は焼灼による反応のために粘膜が腫れます。かさぶたが付着し鼻づまりが一時的に強くなりますが、その後徐々に鼻の通りが良くなります。
3．来院は基本的に粘膜が落ち着くまでは1週間に1回。ただし鼻血などの困ったこと、心配なことがありましたら我慢せずに来院してください。

＊この治療が受けられない人は？
1．麻酔薬にアレルギーのある方
2．血液検査で異常があり、手術に影響があると判断された場合
3．鼻の中を触られると動いてしまう方（小さいお子さんなど）
4．鼻中隔の弯曲度が強い方（鼻すじの骨の曲がりが強い方）
5．ペースメーカーや人工内耳などの電気機器を体内に埋め込む手術をした方

＊費用について（3割負担の方の例）
1．手術前に健康チェックのために血液検査が必要です。
a.必ず行うのは次の項目です：約3,200円
　赤血球、白血球、血小板、肝機能、腎機能、出血傾向、感染症など
b.この際に、アレルギー原因検索の血液検査を同時にご希望の方は、別途料金がかかります（目安として6項目で約3,000円）。
2．アルゴンプラズマ療法は保険適用です：8,730円。

＊その他　　　　
1．手術中はアースを上腕に粘着テープで貼りますので、上腕を出せる服装でご来院ください。
2．スギ花粉症の方は、スギ花粉の飛散が多い時期の手術は症状を悪化させる可能性があるので行いません。7月から12月頃に済ませましょう。
3．アルゴンプラズマ療法はアレルギーを「治す」ものではありません。症状を抑える方法の一つとお考えください。また、作用やその持続期間は人によってまちまちです。ご了承ください。


この治療は予約制です。まずは、通常の診察をお受けになり、適用かどうかを見極める内視鏡検査を受けていただく必要があります。なお、手術は火曜、水曜の午前の診療時間内に行っています。土曜日には手術は行いませんのでご了承ください。